みなさんは、凪良ゆう先生の小説を読んだことはありますか?
2019年、2023年に本屋大賞を受賞されている方で、私も中学・高校の朝読書の時間によく読んでいました。
今回は、一般文芸・BL合わせて全作読了済みの筆者による
「凪良ゆう先生の”全作品から選んだ”トップ5」を発表していこうと思います。
おまけとして、筆者が思う「この作品が好きならこっちも好きなはず...」という作品も載せているので、読了済みの方もチェックしてみて下さいね!
- 1位 「おやすみなさい、また明日」孤独な彼らが選んだ結末に涙がとまらない...
- 2位 「美しい彼」実写化も大成功!最強の「割れ鍋に綴じ蓋コンビ」。
- 3位 「汝、星のごとく」瀬戸内から始まった15年にもわたる愛の物語。
- 4位 「未完成」デビュー2年目の作品!未熟な高校生が向けるまっすぐな恋心。
- 5位 「流浪の月」真実と事実は違う。話題を呼んだ本屋大賞受賞作!
- おわりに
1位 「おやすみなさい、また明日」孤独な彼らが選んだ結末に涙がとまらない...
第1位はこちら!
「おやすみなさい、また明日」です!
不朽の名作と名高いBL作品で、筆者はあまりの切なさと温かさに号泣してしまいました...
【あらすじ】
売れない小説家であるつぐみは、10年来の恋人に「子供が欲しい」という理由で突然振られてしまいます。
保証人がいないことから引っ越しもできないつぐみですが、ひょんなことから出会った朔太郎という青年の実家が営むアパートに住むことに。
愉快な隣人と、穏やかな朔太郎との関わりを経て、徐々に癒されていくつぐみ。
しだいに惹かれ合っていく2人ですが、朔太郎はとある理由から"恋人は作らない"と決めているようで...
孤独な2人がお互いを救い、救われて、支え合う”人生の物語”です。
【見所】
こちらの作品は、いわゆる”記憶喪失もの”に分類されます。
朔太郎が恋人を作らない理由は、”恋人の存在や思い出を忘れることで、大切な人を傷つけたくないから”なんですよね。
本作の表紙には「白い花」が描かれているのですが、この花はツバキではなく「山茶花(サザンカ)」です。
この2つの花は見た目こそ似ていますが、散り方に大きな違いがあります。
ツバキは”花ごとボトっと落ちる”のに対して、山茶花は”花びらが一枚ずつ散っていく”のです。
記憶喪失ものには、事故などの衝撃的な出来事によって突如記憶が失われる「ツバキタイプ」が多いように感じますが、
本作は徐々に記憶が抜け落ちていく「山茶花タイプ」です。
自分でも気が付かぬうちに大切なことを忘れてしまう恐怖・不安を抱えた朔太郎と、そんな朔太郎に救われた天涯孤独なつぐみ。
長い人生を誰かのためではなく、自分のためだけに生きることは、ひどく寂しくて耐えがたいものなのかもしれません。
孤独な2人がどのような決断をするのか、是非とも見届けて下さい。
「おやすみなさい、また明日」がお好きな方は...
こちらの「ニアリーイコール」という作品がオススメです。
天涯孤独で幸薄い人物と、これまた一筋縄ではいかない事情を抱えた人物が、優しく寄り添いながら進んでいくお話です。
登場人物の設定と作品の雰囲気が、どことなく「おやすみなさい、また明日」と似ているような気がします。
2位 「美しい彼」実写化も大成功!最強の「割れ鍋に綴じ蓋コンビ」。
第2位はこちら!!
「美しい彼」です!!
この作品はドラマCD、実写ドラマ・映画の全てにおいて大人気な作品ですね!!
どれだけBL小説の取り扱いが少ない書店でも、美しい彼だけは何故か置いてある気がします...笑
【あらすじ】
周囲に馴染めず、無口で友達もいないスクールカースト最底辺の平良が一目ぼれしたのは、クラスの人気者で最頂点に君臨する清居。
誰に対しても等しく横暴な”キング清居”に対する思いは、恋というよりもはや信仰です。
清居に近づくために、パシリまで引き受ける始末。
そんな雲の上の存在である清居ですが、とある出来事をきっかけに徐々に平良と2人きりで過ごす時間が増え...
2人の高校生が出会い、長い年月をかけてお互いに歩み寄っていく物語です。
【見所】
序盤はいわゆる”スクールカーストラブ”というやつです。
あらすじにて、平良はスクールカースト最底辺で、清居は最頂点だと書きました。
これ間違ってないんですけど、読んでみると「あれ...思ってたんと違う...」ってなると思います。
というのも、平良って”無自覚オレ様”なんですよ。
思想が強くて自分の世界に浸りがちですし、あんなに好き好き言ってても、清居の気持ちを推し量ろうとしないんですよ!!!
平良も清居も”等しく身勝手”で、どちらもキングなんですよ。
2人ともお互いに「この人理解できないわ...たぶん別の生き物だ...」なんて思ってます。
でも好きだから「この人のことを知りたい」とか「自分が歩み寄らなければ」と頑張るんですよ。
2人が繰り広げる「全く噛み合わない会話」で大笑いしたかと思えば、「それでも歩み寄ろうとする姿」に涙を誘われるのです。
「美しい彼」がお好きな方は...
こちらの「神様のビオトープ」をオススメします!
本作は短編集のような感じなのですが、その中の「彼女の謝肉祭」というお話がどことなく「美しい彼」っぽさを感じます。
内容は全然違うんですけど、読み心地...?が似てるんですよね。
3位 「汝、星のごとく」瀬戸内から始まった15年にもわたる愛の物語。
第3位はこちら!
「汝、星のごとく」です。
こちらは2023年に本屋大賞を受賞されました!
凪良先生の集大成、最高傑作との呼び声高い作品です。
【あらすじ】
舞台となるのは、瀬戸内の小さな島です。
高校生の暁海の家は、父親が島外で浮気をしていることから、島中のうわさの的になっています。
ある日暁海は、母親の恋愛事情を理由に同じ高校に転校してきた櫂と出会います。
閉鎖的な島での生活に息苦しさを感じる2人は強烈に惹かれ合い、卒業後は共に上京することを誓いますが...
17歳で出会った男女の15年にもわたる”愛と決断の物語”です。
【見所】
本作は、暁海と櫂の視点が1章ごとに切り替わりながら進んでいきます。
プロローグを読んだ時点で”暁海が櫂ではない別の誰かと結婚したこと”を読者は知っているので、そのことがずっと引っかかりながら本編を読み進めていくことになります。
大人になるにつれてお互いに過ごす環境が変わり、2人は徐々にすれ違っていきます。
それでも、「汝、星のごとく」というタイトルが表すように、彼らはどれだけ離れていてもお互いが星のような存在なのです。
「届かなくても、いつも見上げればそこにいてくれるような存在」とでも言いましょうか。
本作には魅力的な脇役も登場します。
彼らはみんな、どこか”正しくない”のです。
堂々と浮気をしたり、元教え子の子供を育てるシングルファザー教師だったり...
それでもみんな「正しくなくても誰に否定されても、自分はこうしたいのだ」という確固たる決断をしてきたのです。
そんな彼らとの関わりを経た暁海のモノローグが、Amazonの商品紹介でも使われているこちらです。
わたしは愛する男のために人生を誤りたい。
この言葉が出てくるまでにどのような経緯があったのか、暁海は何を”誤る”ことを決意したのか、是非本作を読んでチェックしてみてください!
「汝、星のごとく」がお好きな方は...
「汝、星のごとく」は、生きずらさを抱えた人物を描いてきた凪良先生の”集大成”という感じの作品ですので、
本作をお好きな方は、どの凪良作品を読んでも面白いと思います。
「真夜中クロニクル」という作品は一度読んで欲しいのですが、絶版になっているのです...
4位 「未完成」デビュー2年目の作品!未熟な高校生が向けるまっすぐな恋心。
第4位はこちら!
先生がデビュー2年目に書かれた「未完成」です!
絶版になっているのですが、復刊の望みをかけて紹介させてください!!
【あらすじ】
高校生の瀬名は、ひょんなことから高校の英語教師・阿南がゲイであることを知ります。
家庭環境が原因で溜まった鬱憤を、阿南を揶揄うことで発散しようとしますが、瀬名は見事に言い負かされて返り討ちに!
その後も瀬名のウザ絡みは続き、その度に素っ気なくあしらわれますが、
阿南といることが”何故か心地よい”と感じてしまった瀬名は阿南の部屋に通うように...
自分の思いが「恋心」であると知った瀬名は、阿南に猛アタック&大暴走。
瀬名の”恐ろしいほど真っすぐな恋心”と、阿南の”教師としての理性”がぶつかり合う本作。
やがて2人には「別れ」が訪れますが、未熟な瀬名にはどうしようもできず...
【見所】
「年下×年上」の恋愛を扱った作品は多数ありますが、大半が”ぐぬぬ...自分の方が年上なのに、年下のこいつの勢いに押されてしまうなんて...”みたいな感じじゃないですか?
本作は違います。
瀬名はどれだけ格好つけて大人ぶっても、阿南の前ではかわいらしい高校生になってしまうんです。
圧倒的に阿南が”大人”なんですよ。
そんな瀬名でも、未熟さゆえの大暴走や真っすぐな言葉が、阿南の心を動かしてしまうんですよね...
あまりにも筆者の好みドストライクだったので、紹介させていただきました...
凪良先生もあとがきにて、「著者萌えベスト3」「よほど楽しんで書いたのか、クライマックス前に知恵熱を出した」とおっしゃっていましたよ...笑
「未完成」がお好きな方は...
こちらの「雨降りvega」という作品がオススメです。
「未完成」よりは穏やかな作品ですが、”高校生の未熟さ”と”大人の理性”が優しくぶつかり合う姿に心惹かれる方も多いかと思います。
5位 「流浪の月」真実と事実は違う。話題を呼んだ本屋大賞受賞作!
第5位はこちら!
2019年本屋大賞受賞作「流浪の月」です。
【あらすじ】
家に帰れない事情を抱えた少女・更紗と、そんな更紗を家に招き入れた大学生・文。
更紗にとっては文の家こそが安心して過ごせる場所だったですが、幸せな時間は長くは続かず...
文は「誘拐犯」、更紗は「被害児童」として離れ離れになります。
そして15年後、2人は偶然の再会を果たします。
更紗は再び文と一緒にいることを願いますが、周囲から見た彼らはやはり「誘拐犯と被害児童」なのでした。
偏見と好奇の目、そして”善意”に押しつぶされる息苦しさを描いた名作です。
【見所】
本作はやはり「真実と事実は違う」というのが1つの見所だと思います。
読者としても、更紗と文の過ごした日々を知っているだけに、「文はそんなやつじゃない」とか「更紗にそんな憐みの目を向けないで欲しい」なんて思うわけですが、
”大学生の青年が女児を家に連れ込んだ”というのは事実なわけで...
そして更紗と文の関係ですが、彼らは「恋愛関係」とは違うんですよね...
お互いが大切で一緒にいたいとも思っているわけですが、たぶん恋愛でもなければ、家族愛ともまた違うような..?
私たちも、誰かの愛を自分の知っている「愛のかたち」に押し込めてはいないだろうか...なんて少し考えてしまう筆者なのでした。
「流浪の月」がお好きな方は...
すみません!またしても絶版なのですが、「あいのはなし」という作品です。
こちらはBL版「流浪の月」といっても過言ではありません。
愛する人を失いその息子と逃避行をするのですが、こちらもまた「誘拐事件」として扱われてしまうのです。
これもまた泣けるんですよ…復刊したら是非!
おわりに
今回は、凪良ゆう先生の作品トップ5を発表していきました!
気になる方はチェックしてみて下さいね!!!
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