今回は、あさのあつこ先生の『NO.6 再会#2』感想記事となります。
発売日である9月1日に購入はしたものの、既に読みかけの本があったり、やらなければいけない事があったりという感じで、手を付けることができていませんでした...
いざ読み始めるとグイグイ引き込まれてしまい、3時間くらいで読み終わってしまったので、もっと早く読めば良かった...と後悔しております。
以下、感想文です。
あらすじ
旧市内で同時多発爆発が起こり、大混乱するNO.6。
「アリの巣」を破壊しようとする黒幕は誰なのか? 誰もが安心して暮らせる場所をつくろうとしている紫苑は「真実」を知ろうと奔走する。
そんな中、ネズミは紫苑の母である火藍に、ある提案をしにいく。それは火藍にとってもネズミにとっても辛い言葉になる。
ネズミが抱える「償いようのない罪」が明かされる2巻。引用:コクリコ『NO.6 再会#2』 Storyより
ネタバレ感想
第1巻は「再会」に重点を置いたお話で、新生NO.6に関してはまだまだイントロダクションという感じでしたが、じわじわと話が進んできたなぁと感じる第2巻でした。
様々な背景を持つNO.6再建委員会のメンバーが登場したり、beyondにて驚きの退場を見せた楊眠が再登場したりと読者が気になっていた部分も描かれつつ、着実に物語も進んでおり、いよいよ始まるぞ…という。
私はまだ月薬ショックから立ち直れていないので、恋香と莉莉が登場していないのが気になるところです...
『NO.6』の好きなポイントはたくさんあるんですけど、その1つに「読みやすい平易な表現の中に、時にドキッとしてしまうような刺激的な言葉や描写が出てくるところ」があるんですよ。
もし子供の時に読んでいたらちょっと大人の世界に触れたようでドキドキしてしまうだろうなぁ…という。
今回だとネズミが紫苑を押し倒し、紫苑の首に手を添えた際の「愛撫」というワードチョイス。
前巻で言うと、踊って息が上がった状態で抱きあったことで、互いの上がった息と激しく鼓動する心臓を感じたりとか、キスする前にわざわざ耳たぶを掠らせるようにして髪の毛をほどいたりとか、キスした時にランプに照らされた2人の影が揺れたりとか…
いやらしくないけど、ドキッとしてしまう色気がある気がします。
『NO.6』は、学校の図書室や地域の図書館の児童書コーナーにも置かれているような小説なので、「ターゲットとなる読者層に子供が含まれている」という点も考慮しつつ、少し刺激的な、ピリッとくるような描写が上手いですよね。
楊眠が復活したのも良かったなぁ。beyondの傷が深かったからさ…
楊眠の奥さんの話でも出てきたけど、旧NO.6が芸術を退けていた理由が「芸術は人を強くするから」なのが何とも…
無印NO.6の「芸術に触れたことのない少年が、魅惑的なもう1人の少年の傍ら、小さな地下室で絵画や物語に触れていく描写」が美しくて大好きだったので、その時の回想が挟まれるとちょっと嬉しい。
ショートストーリー「ぼくはまだ、きみを知らずにいた」を読んで今さらながら思ったんですけど、沙布が脳の研究をしていて、紫苑が生態学専攻なのヤバくないですか?
沙布の最後と、紫苑の運命を変えたネズミという少年の生い立ちを知ると…鳥肌が止まらねぇ...
ネズミが火藍に向けて発した「紫苑をあなたから奪ってもいいか」って台詞も痺れたなぁ…
紫苑がネズミと共にいることを望んでいること、ネズミが紫苑をNO.6から遠ざけたいと考えていることから、いつか紫苑が火藍ママのもとを離れることは分かっているんだけど...
そうか...ここで伝えるのか…という。
紫苑の小さい時の話(人参嫌いだったこと)なんかも出てきて、それを聞いたネズミが後で紫苑に人参を食べさせるところも面白い。
NO.6を去ったネズミの2年間、徐々に明るみになった旧NO.6の民と西ブロックの民の不満、それを煽る謎の勢力、そして紫苑の内に眠る怪物…などなど今後も目が離せない展開になりそうです。
第3巻は2026年春発売とのことで、気長に待つとしますか。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう!
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